そもそも前立腺とは膀胱の下、尿道の周りを取り囲むようにして存在する臓器で、「前立腺液」という精液に含まれるPSAというたんぱく質を製造する臓器です。

前立腺液は精子に栄養を与え運動を助けて卵子と受精しやすくさせるという働きを担います。

従って前立腺は当然男性だけが所有している臓器で、大きさは直径3㎝程度のクルミ大、重さ20g程度、前立腺液を分泌する分泌腺が内部にあり、内腺と外腺に分けられています。(参照:がん研有明病院「前立腺がん」)

前立腺がんはこのうち主に外腺から発生することの多い病気で、前立腺がんと間違われやすい前立腺肥大症は内腺が腫れる病気という違いがあります。

前立腺がんは、他の癌と同じく細胞の異常増殖によって引き起こされる疾患です。

本来前立腺も含め全ての細胞は代謝により常に古いものから新しいものへと作り替えられるのですが、遺伝子の突然変異により作り替えられる際にコピーエラーが起こると、細胞分裂が過剰に起こったり古い細胞がいつまでも残ったりして細胞の塊を形成します。

この細胞の塊が「腫瘍」で、その塊の周囲組織にまで入り込んで無秩序に増殖し、健康な組織を破壊して機能を失わせる悪性の腫瘍が、つまり癌というわけです。

癌の原因となるこの細胞のコピーエラーが起こる理由は未だ正確に解明されていませんが、前立腺がんの場合主にホルモンバランスが関係しているのではないかと言われています。

というのも前立腺の成長や活動には男性ホルモンが関係しているからで、前立腺がんも男性ホルモンの影響を受けて成長することが分かっているからです。

統計的に60才以上の男性の罹患率が高いことも、この年齢から男性ホルモンが大幅に減少し始めるからではないかと言われていますし、黒人→白人→黄色人種の順で罹患率が高いのも、人種的な男性ホルモンの分泌量の違いによるものと思われます。

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前立腺がんの症状について!初期症状はあるの?

医師とパソコン

前立腺がんの約70%は前立腺の外腺部に発生するため、癌がまだ小さな初期の段階では自覚症状もありません。

ただし前立腺の内腺で発生する前立腺肥大症と合併することもあり、また合併症を起こさなくても発生部分が尿道に隣接する部分であることから、前立腺肥大症と似た症状、つまり尿道を圧迫することから起こる様々な症状が現れます。

例えば排尿後もまだ尿が残っているような感じがする残尿感、頻繁に排尿する頻尿、尿が出にくい排尿困難、尿の勢いが弱い尿勢低下、尿が途中で途切れる尿線途絶、睡眠中何度も尿意で目が覚める夜間頻尿、排尿を我慢できない尿意切迫感といった症状です。

癌が更に進行し前立腺を超えて尿道や膀胱、精嚢などにまで広がると、排尿時に痛みが出たり尿漏れ、血尿が見られるようになり、クシャミなどで腹部に力が入っただけで失禁したり、インポテンツ、また精液が赤くなることもあります。

更に進行が進みリンパ腺や骨にまで転移すると、その転移部分に痛みが起こり骨折しやすくなったりリンパ液が滞ることで浮腫んだりします。

尿が完全に出なくなる閉尿、全身の倦怠感、下半身麻痺などに至ると、これは前立腺がんの末期症状となります。

前立腺がんの検査と診断

人間ドック

前立腺がんには初期症状が殆どないため、早期発見のためにも50才を過ぎた頃から定期的に検査を受けることが推奨されています。

前立腺がんの可能性を調べるためにまず最初に行われるのは、血液採取で可能な「PSA検査」です。

血液中のPSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌される物質で、前立腺がんになるとこの血中濃度が高くなるため、正常値である4.0ng/mlを超えた場合前立腺がんの可能性があり、再検査が必要となります。

PSA検査により再検査が必要となれば、直腸診で前立腺に腫瘍があるかどうかを調べます。肛門から指を挿入すると前立腺に触れることができるため、これでしこりの有無や大きさを確認するというわけです。

ただしこれだけでは良性か悪性かを確実に判断することはできないため、直腸診で腫瘍が確認されたなら次いで生検が行われます。

つまり細い針を挿入して腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で調べて判断するわけです。

生検で悪性と判断されたなら、その進行度を診るために画像検査が行われます。

例えばリンパ節や他の臓器に移転していないかどうかはCT検査により調べることができますし、MRIは前立腺のどこに癌ができているのか、その外に広がっていないかを診るのに優れた機械で、これにより治療法を決定することができます。

前立腺がんの病期(ステージ)と生存率(余命)

グラフ

癌の進行度を示す「病期」は「ステージ」とも呼ばれ、一般にローマ数字でⅠ~Ⅳまでで表現されます。この病期を定める方法として「A~D分類法」と「TMN分類法」とがあり、日本ではA~D分類法が用いられることが多いのですが、近年では世界基準に合わせてTMN分類法を使うことが推奨されています。(参照:がん情報サービス「前立腺がん」)

このTNMとは、「T(Tumor)=原発腫瘍」、「N(Nodes)=所属リンパ節」、「M(Metastasls)=遠隔転移」の頭文字をそれぞれ並べたもので、Tは前立腺で癌がどれくらい広がっているのか、Nはリンパ節に転移しているかどうか、Mは骨や肺、肝臓など前立腺から離れた臓器にまで転移しているかどうかを表しています。

このうちNとMは「転移しているかしていないか」の2択しかないため「N0(リンパ節への転移無し)」か「N1(リンパ節への転移あり)」、「M0(遠隔転移なし)」か「M1(遠隔転移あり)」の各2種類しかないのですが、Tに関しては癌の進行度を4つに分類しているため「T1」~「T4」までがあり、更に細かく「T1」と「T1a」、「T2」と「T2a」・・と分けられています。

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ステージ0(0期)と生存率(余命)

前立腺がんの検査結果により癌が見つからなかった場合は、「ステージ0」「0期」となり、当然ですが生存率は100%となります。

ステージⅠ(Ⅰ期)と生存率(余命)

A~D分類法では「A」、TNM分類法では「T1・N0・M0」にあたります。検査では発見できないほど癌が小さく前立腺組織の5%以下、前立腺肥大症などの検査で偶然発見されたもので、5年生存率は100%です。

ステージⅡ(Ⅱ期)と生存率(余命)

A~D分類法では「B」、TNM分類法では「T2・N0・M0」にあたります。直腸診で癌が確認できますが、前立腺内に留まっている状態で、5年生存率は100%です。

ステージⅢ(Ⅲ期)と生存率(余命)

A~D分類法では「C」、TNM分類法では「T3・N0・M0」にあたります。癌が前立腺を越えて精嚢や膀胱にまで広がっているもののその先の直腸や骨盤壁などには達していない状態で、5年生存率は100%です。

ステージⅣ(Ⅳ期)と生存率(余命)

A~D分類法では「D」、TNM分類法では「T4」、「N0」あるいは「N1」、「M0」あるいは「M1」にあたります。

癌が精嚢、膀胱頸部、直腸や骨盤壁などにまで進行している状態で、遠隔転移やリンパ節転移が見られることもあります。5年生存率は54%です。

治療法

治療

前立腺がんの治療法としては、手術(外科治療)、化学療法、放射線治療、ホルモン療法などがありますが、これらのうちのどの治療法を取るかは腫瘍の悪性度や年齢、期待余命、リスク、更には患者自身の治療に対する考え方なども考慮に入れたうえで決定します。

特に前立腺がんの場合早期であれば進行が遅いこともあって生命に影響を及ぼす恐れがないと判断されることもあり、その場合には「無治療経過観察(PSA監視療法)」と呼ばれる治療を施さず経過観察する方法がとられることもあります。

あるいは手術や放射線治療を希望しない患者には癌の進行を抑える治療も可能で、このように早期であれば治療の選択肢は広がりその負担も軽いものになります。

一方癌が進行していれば治療は必須ですが、移転が見られる場合には完治は難しくなってしまいます。治療方針を立てるにあたって医師のしっかりとした説明や指導は必要ですが、最も優先されるべきは患者自身の意思です。

従って医師とよく相談し、納得したうえで治療を選択し進めていく必要があるでしょう。

手術(外科療法)

外科手術によって前立腺と精嚢を摘出し、膀胱と尿道を吻合する治療法で、病巣を切除してしまおうというがん手術としては最も一般的な方法です。

手術には下腹部を切開する「恥骨後式前立腺全摘除術」、会陰部を切除する「会陰式前立腺全摘除術」、腹部に内視鏡の入る穴を開けそれを見ながら操作して摘除する「腹腔鏡下前立腺全摘除術」、更には下腹部の小さな穴から手術用ロボットを挿入し遠隔操作によって摘除する「ロボット手術」もあります。

これらの摘出手術では勃起に関係する神経も切除してしまうため、後遺症として勃起障害が残ってしまうのですが、早期であれば神経を切除しない勃起神経温存手術も可能です。

診断結果

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抗がん剤(化学療法)

化学物質、つまり抗がん剤を投与し癌の増殖を抑えて破壊する治療法で、注射や経口薬として投与されると血液に乗って全身を巡る為、全身どこに転移している癌でも攻撃することができます。

後述する免疫細胞療法でも効果が見られない場合に取られる治療法で、現在注射薬として「ドセタキセル水和物」と「カバジタキセル」、経口薬として「エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物」が使用されています。

これらの抗がん剤には癌細胞の増殖を抑制し死滅させる作用があるのですが、同時にがん細胞のみならず正常な細胞までも攻撃してしまう可能性があります。

これが抗がん剤の副作用で、脱毛や吐き気、嘔吐、細菌の感染症といった症状が見られることがあります。

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免疫細胞療法

癌の三大治療法とされる手術療法・化学療法・放射線療法に続いて近年注目され始めたのが「免疫細胞療法」です。

これは患者自身が持つ免疫細胞を専門施設で培養し増殖・活性化させて再び患者の体内に戻すというもので、発見されにくい癌や癌の転移防止、再発防止に有効です。

ただ一言で免疫細胞といっても実際には体内で様々な種類の免疫細胞が連携を取りながら働いていますから、そのうちのどの免疫細胞を利用するかはそれぞれ患者の状態に合わせて慎重に選択しなければなりません。

しかし元々患者本人の細胞から採ったものであるため体への負担が少なく副作用の危険性も殆どないことから、患者のQOLを保ったまま行える治療として高く評価されています。

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放射線療法

放射線には細胞内のDNAに直接作用して細胞分裂能力を失わせたり「アポトーシス」と呼ばれる細胞が自ら死んでいく現象を強めたりする力があるため、これをがん細胞にあてることでがん細胞を縮小させたりその成長を遅らせたりして癌に侵された臓器を温存する方法が、「放射線療法」です。

局部的な治療法なので体への負担が少ないのがメリットで、高齢者でも施術しやすく、また手術前の補助療法、術後の再発防止など他の治療法と組み合わせて行われることもあります。

放射線療法の方法は主に2種類で、体の外から病巣に放射線を照射する「外照射療法」と、放射線を出す線源を前立腺内に挿入し内側から放射線を照射する「小線源療法」とがあります。

陽子線治療

陽子線とは水素の原子核である陽子を加速化した放射線の1種で、X線とは異なり正常な細胞を傷つけずピンポイントでがん細胞だけに作用するという特徴があります。

陽子線には体内のある深さで放射量が最大になり、それ以上先には影響しないという「ブラッグピーク」と呼ばれる特性があるため、このブラッグピークの深さを調整することでピンポイントで癌細胞にのみ照射することができるのです。

この性質から副作用が少なく体の機能を保ったまま治療が可能であるうえ、痛みも殆どなく、陽子線治療だけであれば週に3~5日、1日15~30分程度の通院で済み、患者への負担が軽いというメリットがあります。

重粒子線治療

重粒子線も陽子線と同じく放射線の1種ですが、陽子線より更に癌細胞を集中的に治療でき、その癌細胞殺傷効果は陽子線の2~3倍にもなります。

深部にある癌はX線ではその作用が届かず治療が難しいのですが、重粒子線であればそれも可能で、痛みも殆どありません。

1週間に3~5日ほどの通院で、治療台で担当技師が位置合わせを行う時間が15分程度、照射そのものは2~3分で終了します。

放射線治療としては最も殺傷効果が高いため、照射回数が少なくて済むというのもメリットになります。

副作用も少なく体力的に問題のある高齢者にも治療が可能ですが、陽子線治療と同様広範囲に転移した癌には使用できず、あくまで局所的な治療が対象となります。

再発防止は?免疫力を上げて予防する!

野菜いろいろ

前立腺がんに限らず癌の再発予防に欠かせない要素は「免疫力」で、この免疫力を高めることにより、がん細胞の増殖を抑える強い体を作ることができます。

免疫力を高める体作りの基本は、やはり食事にあります。

抗酸化作用が強くリンパ球の働きを活性化してくれるポリフェノールやアリシンなどの植物が持つファイトケミカルを多く含んだ食品がお勧めで、ブドウやブロッコリー、玉ねぎ、ニラ、ニンニクなどがそれにあたります。

特に最近の研究によるとトマトに含まれるリコピンや大豆に含まれるイソフラボンには前立腺がんの発症リスクを下げる働きがあることが明らかになっています。

また白血球はたんぱく質から作られますから、良質なたんぱく質である青魚や大豆を摂ることも勧められています。

ただし免疫力を上げるためには「癌再発予防に良い食品」だけを摂るのではなく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

また「肥満はがんの再発率を高める」と言われている通り、体重コントロールも大切で、適正体重以上にならないよう注意することも再発予防に欠かせません。

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早期発見・予防のためのスクリーニング検査「PSA検査」

顕微鏡

「検査と診断」の項目でも触れた通り、前立腺がんの可能性を調べる際にまず最初に取られる検査が、「PSA検査」です。

PSAとは前立腺から精液中に分泌されるたんぱく質で、精液の栄養素となり受精しやすい精液作りに欠かせない物質なのですが、分泌されたPSAのごく一部は血液内にも流れ出ます。

このため男性の血液検査をするとPSAが検出されるのですが、健康な人の場合は平常時でPSA値は2ng/ml以下。加齢による前立腺の肥大など他の要素を考慮しても4ng/ml以上になることはありません。

従って、血液検査によりPSA値が4ng/ml以上と出れば、前立腺がんの可能性が疑えるのです。

PSA値が4~10ng/mlの範囲であれば、前立腺がんである可能性は25~30%とされており、必ずしも前立腺がんであるとは限らないのですが、もし今のところ前立腺がんが見つからなかったとしても今後その可能性があると考えておく必要があります。

実際、このPSA検査を受けることで早期発見が可能で、前立腺がんによる死亡リスクが44%ほど減るとも言われているのです。

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まとめ

メモ

男性特有の臓器である前立腺に発生する「前立腺がん」。

そもそも癌の直接的な原因である「細胞内のDNAのコピーエラー」ががなぜ起こるのかについては未だハッキリとしたことは分かっていませんが、その要因となるのは前立腺がんの場合、男性ホルモンバランスの変化と言われています。

前立腺がんは初期症状が殆どないため気付きにくいのですが、早期発見さえできれば5年生存率はほぼ100%と非常に予後の良い癌でもあるため、男性ホルモンのバランスが急激に減少し始める50代からは定期的に検診を受けることが勧められています。

特にスクリーニング検査であるPSA検査は血液の採取のみで可能であり、これを受けておくだけで前立腺がんによる死亡リスクを44%ほど下げることができるとされています。

前立腺がんの治療は癌の三大治療である外科手術・放射線療法・化学療法、および免疫細胞療法、あるいはこれらを組み合わせた方法で行われます。

また治療後も再発を防止するために、免疫力を高める食事や体重コントロールが必要になるでしょう。

免疫力を高めるためには抗酸化力の強い食品や良質なたんぱく質が豊富な食品を摂るのがお勧めですが、単一の食品に偏ることなく栄養バランスのとれた食事をすることが何より大切です。

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