喉頭がんは頭頸部のがんの一種で、進行すると発声や呼吸、飲み込みに問題が出てきます。

がんができる部位によって声門がん、声門上がん、声門下がんに分類され、これらの中でも最も多いのが声門がんであり、全体の65%を占めます。

残りの30%が声門上がんであり、声門下がんは極めて稀です。咽頭がんにおいても同じことが言えますが、喉頭は声門が存在する場所なので、治療においてははより発声機能への配慮が必要になってきます。

場合によっては外科手術を行う必要があり、それによって声を失うこともあるので、このリスクにおいては心得ておくことが大切です。

ただ喉頭がんは早期発見率、治癒率が高いことから、素早く発見、治療に取りかかれれば機能を失うことなく元の生活に戻れることも多いです。

生存率も非常に高く、死亡数は年間2,2800人(口腔がん含む)と言われる咽頭がんのさらに半分以下です。国立がん研究センターの2017年のがん統計予測によると、咽頭がんはおよそ4,800人程度です。

発症は圧倒的に男性が多く、女性との比率は10:1とも言われており、60歳以上での発症が最も多いとされています。

これは男性の方が喉頭がんの原因である飲酒、喫煙を好む傾向にあるからと考えられています。喉頭がんの症状は声に表れます。

初期症状から声枯れが起きるようになり、最初は喉の調子がおかしいと感じる程度ですが、徐々に低いがらがら声、雑音の入ったざらざら声、息が漏れるような声になっていきます。またいがらっぽさ、異物感などを感じるようにもなってきます。

これらの症状は喉風邪などの不調と似ていることから初期症状として気づきにくいものの、2週間以上続くことで異変を感じることが多いため、発見が遅れるといったことはあまり無く、比較的早期の段階で見つけられることが多いです。

喉頭がんは健康診断に含まれることが少ないものなので、おかしいなと思ったら一度耳鼻咽喉科を受診することが大切になってきます。

特に喫煙、飲酒を好む人は一層意識を高く持つことが大切であり、がんが発見されたらすぐに治療、再発予防に努めていかなければなりません。

喉頭がんの原因

女性が喉を押さえる

喉頭がんの最大の原因とされるのは、喫煙です。がん患者の9割以上が喫煙者であり、1日10本以上吸うヘビースモーカーとも言われているので、喉頭がんを避けるためには煙草を断つことが欠かせません。

患者数の男女比が10:1と圧倒的に男性に多いのも、男性の方が喫煙率が高いことが理由と考えられています。

喫煙は様々ながんを引き起こす原因になります。以下のような研究結果も発表されています。

たばこを吸ったことがない人、やめた人、吸っている人の3グループに分けて、約10年間のがん全体の発生率を比較したところ、たばこを吸っているグループでのがん全体の発生率は、吸ったことがないグループに比べて、男性では1.6倍、女性で1.5倍に高くなっていました。もちろん、吸っているグループの中でも、1日当たりの喫煙本数の多い人や長年吸っている人ではがん全体の発生率が、より高くなっていました。

喫煙がどれだけがんのリスクを上昇させるかわかって頂けるでしょう。

また、飲酒も喉頭がんを招く大きなリスクとなるので、こちらを控えることも大切です。

ただ近年は喫煙、飲酒とも性別による差が性別ではなく個人差となってきているため、女性でも喫煙、飲酒をする人は喉頭がんのリスクについて常に心得ておかなければなりません。

この他、熱いものや辛いものなどの刺激物も喉を痛める要因となりますから、食事において好む傾向がある人は注意が必要です。

大きな声を出す、カラオケが好きといった人も喉を酷使することでがんのリスクを高めるため、その都度メンテナンスをして労わるなど配慮をすることが必要になってきます。

また近親者に喉頭がんを患った人がいると、そうでない人に比べてリスクが高まるとも言われています。

遺伝的に喉が弱いといった場合、症状や生存率なども心配になってきますから、普段から発症のリスクを念頭におき、また再発予防などについても考えていかなければなりません。

検査と診断

検査する女性医師

喉頭がんの検査は、喉頭鏡という鏡のついた器具を使って行います。これを口から挿入し医師が直接目で見てがんができていないかを確かめますが、見えにくい場合には内視鏡を使ってより詳しく調べることになります。

喉頭は口からの距離が近いため比較的発見が容易で早期発見しやすいですから、症状や原因が思い当たる場合にはすぐに検査を受けるようにしましょう。

検査にて疑わしい病変部分が見つかった場合には、これを一部採取して生検を行います。顕微鏡で詳しく調べて、病変部ががんであるかどうかを調べ、確定診断が下されます。

病変部の採取については、難しい場所にある場合、全身麻酔を行って喉頭を切開し病変組織を採取するといったこともあります。

この点については病変部の位置、状態など個人差があるため、医師とよく確認することが必要です。

また喉頭がんは首のリンパ節や食道などの周辺器官に転移することが多いので、広がりを確認するためにエックス線やCT、MRIなどの画像検査も一緒に行われるのが一般的です。(参照:喉頭がん「受診から診断、治療、経過観察への流れ」)

これらの検査は転移の状況を詳しく調べることができるため、合わせて行うことで生存率や再発予防などに役立てていくこともできます。

喉頭がんの病期(ステージ)と生存率(余命)

聴診器

喉頭がんのステージは、がんの広がっている範囲と転移の有無によって分類されます。

声門がん、声門上がん、声門下がんごとに分類は多少異なってくるので、詳細については当てはまるものについてよく確認しなければなりません。

現在のがんの状態がどこに分類されるかによって治療の方法は異なってきますし、これから出てくる症状、再発予防などへの備え方にも違いが出てきます。

ステージが進めば他の器官へがんが転移する原因ともなってきますから、これについては良く見極め、理解し、その都度適切な対処、治療を考えていかなければなりません。

特に喉頭がんにおいてはステージによって喉頭を温存できるか、発声や呼吸などの機能を残せるかに大きな違いが出てくるので、これは非常に重要な問題です。

喉頭がんの場合Ⅰ、Ⅱ期は早期がん、Ⅲ、Ⅳ期は進行がんとされていますが、ほとんどの場合は早期がんの段階で発見、治療、回復とことが進むことが多いので、少しでも症状や異変を感じたら検査を受けるようにしてください。

喉頭がんは遠隔転移のリスクも持っているので、喉頭の機能と共に健康を害することの無いよう早めに対処していくことが肝心です。

ステージ0(0期)と生存率(余命)

喉頭がんが確認されるものの上皮内に留まっている極めて早期の段階。

症状は感じられるもののごく軽く、原因となる因子を断って、経過観察もしくは放射線療法や化学治療に取りかかる段階です。再発予防にも努めていきます。

ステージⅠ(Ⅰ期)と生存率(余命)

喉頭がんがはっきりと確認される段階です。声帯運動は正常で転移も認められず、リンパ節などへの転移も認められません。

症状はわりと軽度ですが、原因を含めて治療、再発予防に努めていきます。

ステージⅡ(Ⅱ期)と生存率(余命)

喉頭がんの状態が、声門において広がってきている段階です。

日常生活において症状が顕著に現れてくるものの、リンパ節への転移は無い状態です。原因となる因子をより厳しく断ち、治療、再発予防に取り組んでいくことになります。

ステージⅢ(Ⅲ期)と生存率(余命)

リンパ節への転移は認めないものの、喉頭がんが声帯の広範囲に広がっている状態です。進行がんに分類され、原因によっては症状がかなり酷く感じられます。

生存率、喉頭機能や再発予防など様々な点を考慮して治療にあたっていきます。

ステージⅣ(Ⅳ期)と生存率(余命)

進行がんで、a~c期の3段階に分類されます。a期はまだ転移を認めないものの、c期は他の器官への遠隔転移が認められ、原因や再発予防などよりも生存率を重視した治療に移っていきます。

喉頭がんの声枯れや息漏れの症状が顕著に現れます。

ステージ別の症状と生存率一覧

ステージ 症状の状態 5年生存率
0(0期) 健康体と変わらない
Ⅰ(Ⅰ期) 80~90%
Ⅱ(Ⅱ期) 65~70%
Ⅲ(Ⅲ期) 65~70%
Ⅳ(Ⅳ期) 65~70%
ステージ別の5年生存率は「がん研有明病院」を参考に算出

治療法

パソコンを使って説明する医者

喉頭がんは、発声、食べ物の飲み込み、呼吸など多くの機能を担う喉頭の機能をできる限り残すことを優先に考えて治療方法を選択していきます。

そのため他のがんの場合優先して行われる外科療法による切除という選択肢は、喉頭の機能に影響を与えない範囲での部分切除や進行がんにおける最終的な手段として考えられることが多いです。

またその際はできる限りの機能を残せるよう、切除と共に再建手術が行われます。

基本的には放射線療法やレーザー療法による治療を行っていき、合わせて化学療法による抗がん剤治療を行って様子を見ていくのが一般的です。

早期がん、進行がんに関わらず、まずは放射線による治療を行っていくことが多いと言えます。

また比較的生存率の高いがんであることから、生存率や再発予防にも積極的に努めていき、そのための免疫細胞療法なども行っていきます。

原因となる因子を断ち免疫細胞療法を行うことは、がんの進行を抑える他に症状を緩和させるといった効果もあることから、進行がんにおいても取り入れられることは多いです。

喉頭の機能は日常生活の質に大きく関係してくるものなので、治療と共にこれをできる限り正常なまま残せるよう、治療の選択を行っていくことが大切です。

ここでは主な治療を6つご説明します。

  1. 手術(外科療法)
  2. 抗がん剤治療
  3. 免疫細胞治療
  4. 放射線療法
  5. 陽子線治療
  6. 重粒子線治療

1.手術(外科療法)

喉頭がんにおいては、ステージⅢ、Ⅳに進行している際に治療の選択肢として考えられる手段です。

一部を切除する部分切除の他、生存率や再発予防、他の器官への転移やその原因とならないようになど細かな点を考慮して全摘出を行うこともあります。

全摘出を行う場合には、同時に食道を切除するケースもありますが、この場合には皮膚の一部を代わりにするなどして食道再建手術などが行われます。

このような場合、手術部が回復するまでの期間、食事の注意なども行っていかなければなりません。

ステージⅣまで進行しすでに治癒が望めない場合にはこれを行わず、症状を緩和させる対症療法、緩和ケアなどに切り替えていくことも多いです。

2.抗がん剤(化学療法)

喉頭がんの治療においては、抗がん剤を用いて治療をすることは困難とされています。

そのため化学療法をメインに治療を行っていくことはありませんが、放射線治療と併用してこれが行われることはあります。

最近のがん治療では腫瘍に直接抗がん剤を投与するといった方法が出てきているため、今後治療での扱われ方は変わっていくとも考えられています。

現在一般的には、原因、症状、生存率や再発予防などを目的に使用されるのでは無く、外科療法の術前・術後での併用、再発により他に治療方法が無いといったケースで使用されることが多いと言えるでしょう。

治療というよりも、他の療法のサポート的な役割で行われることが多いです。

3.免疫細胞療法

喉頭がんについて放射線治療や抗がん剤などで効果が期待できない場合や症状が深刻な場合に行われる治療方法です。

体内の免疫力を活性化させてがんの進行の抑制、腫瘍の縮小、生存率の向上、症状の緩和、再発予防に努めていくことになります。

これ単体で行われるのでは無く、他の治療方法と併用して行い、相乗効果を期待するのが基本です。

副作用が無い、正常な細胞を傷つけることがないなど、機能の保存が重視される喉頭がんにおいてはとてもメリットが多い治療方法と言えます。

喉頭がんの原因を断つことから始まり、樹状細胞ワクチンを投与するなど様々な方法があるので、医師と相談しどういった方法を取り入れていくかよく話し合うことが大切です。

4.放射線療法

喉頭がんに最も効果がある治療方法であり、まず最初に行われる治療でもあります。

がん患部に放射線をあてがん細胞を殺していくもので、ステージⅠ、Ⅱの早期がんにおいてはこの治療で治癒してしまうことも珍しくありません。

腫瘍がごく狭い範囲に留まっている場合や、放射線が届きにくい場所にがんができている場合にはレーザーによって切除するといったこともあります。

放射線療法は喉頭の機能の保持、症状の緩和、原因別の効果の有無、生存率、再発予防などあらゆる点においてメリットが大きい治療方法であり、治療における痛みなどもないため、とても心強い選択肢となってくれます。

喉頭がんの全ステージにおいて行われる治療方法です。

5.陽子線治療

水素の元素核である陽子を照射する治療方法です。対象部位を選ぶ治療方法ですが、頭頸部のがんも陽子線治療の対象であるため、喉頭がんにおいてもこの治療は有効です。

病巣にピンポイントに陽子を照射できることから、放射線治療よりも周辺組織に配慮をすることができます。

効果も高く治療も短期間で終わるため、症状に長く悩まされずに済み、原因を断つことをはじめとした再発予防や生存率の向上に努めることができ、視野を広く持って回復を目指すことが可能です。

しかし治療を受けられる施設が国内に10数か所しかない、健康費用の適用外、専門家が少ないといったことから、選択肢の自由度が高いとは言い切れないのが難点です。

6.重粒子線治療

放射線、陽子線治療よりもさらにピンポイントで腫瘍を捉え、かつ周辺組織に負担をかけずに治療を行うことができる治療方法です。

使用できる病気を選びますが、喉頭がんも対象に含まれているので治療が可能です。

がん腫瘍に対する殺傷効果が陽子線の2~3倍、副作用が無い、身体の深いところにあるがん治療が可能、通院治療が可能など様々なメリットがあります。

再発予防やその原因となる要因の排除、生存率など様々なことを考えながらも、普通の生活を送りながら治療に励むことが可能です。

治療は短期間なので、辛い症状に長く悩まされ続けることもありません。

治療において様々なメリットがありますが、国内で治療を受けられる施設が数カ所しかないといった問題があります。

再発防止は?免疫力を上げて予防しよう!

喉頭がんの原因は喫煙、飲酒、食べ物、発声など喉への刺激が大半を占めますから、再発予防においてはできる限りこれらのことを控えていかなければなりません。

これらの原因をより意識して控えていくことができるかどうかが再発予防や生存率の向上、再発時の症状の程度などに大きく影響してきますから、この点についてはよく心得ておきましょう。

また喉頭がんを再発させないためには、免疫力の向上に努めていくことも大切です。

身体そのものの免疫が高ければ再発の可能性はぐっと低くなりますし、細胞や組織が刺激によりダメージを受けても回復しやすくなります。

そのためには身体を冷やさない、身体の免疫の8割を担うとされている腸内環境の改善に努め、善玉菌を積極的に摂取するといったことが一番ですから、こういったことに気を配っていきましょう。

また免疫力は疲れやストレス、睡眠不足、運動不足などでも低下するので、これらのことに気をつけることも必要です。

規則正しい生活習慣や栄養バランスの取れた食事など様々なことに配慮して、高い免疫力を維持できるようにしてください。

何気ないことをきちんと行えるかどうかで、免疫力には差が出てきます。

まとめ

医者と患者

喉頭がんは早期発見、早期治療で治ることが多く、また生存率も高いのが特徴です。

しかし喉頭という場所は発声、呼吸、飲み込みなど生きることにおいてとても大切な役割を担う器官ですから、この機能を損なわずに治療を終えられるようにするためにも、甘く考えてはいけません。

喉頭がんは、他のがんと同様に早期発見が非常に重要です。喉頭がん全体の治癒率は約80%弱と頭頸部がんの中でも高い方ですが、早期に発見すれば音声を失うことなく治癒することが可能です。しかし、基本的に喉頭がんの検診は行われていないため、進行して発見されることも少なくありません。少しでも違和感を覚えたら受診することをお勧めします。

引用元:
国立がん研究センター「喉頭がん」
引用元:

煙草や飲酒、刺激物や大きな声を出すなど喉頭にダメージを与える原因に思い当たったり、また声枯れや異物感などの症状が感じられるようになった場合には、大丈夫だろうと放置せず一度検査を受けるようにしてください。

喉頭がんの検査は口からの距離が近いことからハードルも低いので、安心ともしもの悪化を防ぐためにも早めに診てもらうことをおすすめします。

また発症と再発予防に努めていくためには、日頃から免疫力を高める努力をしていくことが大切です。

疲れやストレスを溜めたり、栄養の偏った食事、腸内環境を悪い状態のままにしていると、ちょっとした要因からもダメージを受けやすくなり、発症率や再発率は高くなってしまいます。

規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事、身体を冷やさない、疲れやストレスを溜めないなどの健康的な生活を心がけるようにするだけでも免疫力は上がりますから、こういったことに努めていきましょう。