食道がんを語る前に、”食道”とは体のどの部分にあたるのかを見ていきます。

食道とは、のどぼとけの下あたりから胃にかけての約25cmの長さを持つ細い管のような臓器のことを言い、食道がんとはこの部分にできるがんの種類です。

食道の粘膜を覆う重層扁平上皮(=じゅうそうへんぺいじょうひ)にがんができるのが特徴で、年齢・性別では主に60代~70代の高齢の男性に多く見られます。

食道がんには重層扁平上皮だけではなく腺がんも含まれますが、日本人が患う食道がんの約90%は重層扁平上皮にできるものであり、腺癌の割合は10%程度にとどまっています。

しかし、これが欧米になると腺がんの割合が60%~70%になるとされています。

これは日本人と欧米人の食の文化の違いによるものと考えられていますが、近年の日本人の食の欧米化にともない、今後は腺がんの割合が増加していくとの見方もあります。

食道がんができてしまう原因として、大量の喫煙や飲酒の習慣が挙げられ、その他では熱い飲食物や辛い飲食物などの刺激性の高い飲食物への嗜好を持つ人がかかりやすいがんであるとされています。

また、野菜不足など食のバランスの崩壊も原因の1つとして考えられており、日常的な食の嗜好の偏りを発端とするケースが多いでしょう。

女性よりも男性のほうに食道がんの患者が多くなるのは、喫煙・飲酒の習慣に加え、刺激性の高い飲食物を好む傾向が女性よりも顕著であるという見方もできるでしょう。

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症状について!初期症状はある?

吐きそうになる女性

食道がんは初期症状の段階で自覚するのが難しく、多くは人間ドックなどの検査において発見されます。

がんがどれくらい進行しているかにもよりますが、主な初期症状として飲食物を飲み込んだ際のしみるような感覚、飲食物を飲み込みにくいと感じることがあります。

さらに進行していくと、飲食物を飲み込む際に胸に痛みを感じる、飲食物が飲み込みづらいことから食事の量が減り、体重が減るなどの症状があります。

がんが転移するほどに進行すると、痰に血液が混じるなどのほか、転移が背骨の場合は背中や胸の痛みを感じるようになるでしょう。(参照:がん情報サービス「食道がん」)

転移が肺など呼吸に関する場所だった場合は、むせるほどの咳や声のかすれなどの症状が出るケースもあります。

初期の段階では自覚症状も少なく、また、がんの初期症状であると認識しにくい類のものであるため、発見が遅れやすいということを踏まえて定期的な検診を欠かさないことが鍵となるでしょう。

食道がんの検査と診断

人間ドック

初期の段階で異変に気づいたり、人間ドックなどで食道がんの可能性を指摘された場合は、より詳しく症状や進行度を確認するための検査をおこないます。

検査を終えると、違和感のある症状が本当に食道がんによるものなのかの判断がくだされます。検査はさまざまな方法があります。

内視鏡(胃カメラ)による検査

内視鏡による検査のほか、バリウムを飲んでレントゲンによる検査もおこないます。食道の壁を観察し、異常があらわれていないか、またその異常の範囲がどの程度なのかを確認します。

組織検査

内視鏡検査時に食道の組織を採取し、正常な細胞なのか異常の見られる細胞なのかを診断します。また、この検査の段階で扁平上皮がんなのか腺がんなのか、どちらのタイプの食道がんができているかも判断します。

CT・MRI・骨シンチグラフィーなど

食道がんの進行度と悪性度、また他の臓器への転移がないかなどを詳しく検査します。

骨シンチグラフィーとは骨の状態をスキャンするための検査で、スキャンに必要な薬剤を投与した約4時間後に撮影をおこなうものです。体内の骨を破壊する可能性のある部位を特定する目的で用いられます。

これらの検査と診断に基づき、食道がん治療のための適切な方針を決めていきます。

食道がんの病期(ステージ)と生存率(余命)

グラフ

さまざまにあるがんの種類のなかでも、食道がんは「進行しやすい、他の臓器に転移しやすい、治療後の再発の可能性が高い」という特徴があります。

著名人が命を落とした原因の病気としても多く聞かれるため、知名度も非常に高いがんと言えます。しかし、早期に発見ができれば治る確率は比較的高いとされています。

がんには進行度をしめす「ステージ」というものがあり、これまでの研究やデータを参考にした5年生存率の割り出しができます。

診断結果

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食道がんにもこのステージがあり、がんがどれくらい広がっているか、リンパ節や他の臓器への転移が見られるかなどを総合的に観察し、現在どのステージにあるかを診断していきます。(参照元:がん研有明病院「食道がん」)

ステージ0(0期)と生存率(余命)

食道がんの細胞が粘膜内のみにあり、リンパ節への移転が見られない状態です。

ステージ0での生存率は高く、この段階から適切な治療ができれば5年生存率は約80%以上となっています。食道がんだけではなく、全般的ながんにおいて「初期がん」「早期がん」と呼ばれるのがステージ0のがんです。

ステージⅠ(Ⅰ期)と生存率(余命)

ステージⅠでの食道がんの5年生存率は約70%です。

食道がんが粘膜内のみに見られるものの付近のリンパ節への転移がある場合や、転移は見られないものの粘膜の下層付近までがんが広がっている状態がステージⅠに分類され、ステージⅠの食道がんは初期がん、早期がんの範囲に含まれます。

ステージⅡ(Ⅱ期)と生存率(余命)

ステージⅡでの食道がんの5年生存率は約50%です。

がんの広がりが粘膜内を超えて筋肉の層に達し、食道の壁の外に見られる場合や、粘膜下層を超えてはいないものの食道付近のリンパ節への転移が見られる場合はステージⅡに分類されるでしょう。

ステージⅢ(Ⅲ期)と生存率(余命)

ステージⅢでの食道がんの5年生存率は約30%となり、ステージ0~Ⅱと比べると命が助かる可能性がとても低くなることがわかります。

がんが食道を超えて壁の外に広がっていることが明らかな場合や、食道から離れたリンパ節への転移が認められる状態です。

ステージⅣ(Ⅳ期)と生存率(余命)

ステージⅣでの食道がんの5年生存率は約15%という低い数字になります。

がんが食道を大きく超えて周囲の臓器にまで広がっている場合や、食道からかなり離れた位置のリンパ節への転移が見られる場合、また食道以外の臓器や胸膜・腹膜への広がりが明らかな場合はステージⅣに分類されます。

このように、食道がんではステージが進むごとに生存率は著しく低下してしまいます。

しかしステージ0~Ⅱの範囲におさまる初期がん、早期がんの段階で適切な治療をすすめることができれば、5年生存率はほぼ100%に近い数字になるというデータもあり、定期的な検診による早期発見がいかに重要であるかがわかります。

食道がんの治療法

ドクター

がんの広がりによりステージの分類ができたあとは、ステージに合わせた治療がこころみられます。

食道がんの治療法としては外科手術、内視鏡を用いた治療、放射線治療、抗がん剤での治療が一般的なものです。その他では、近年の医療技術として免疫細胞療法なども知られています。

この章では、食道がんの主な治療法を1つ1つ見ていきます。

手術(外科療法)

ステージⅠ~Ⅳの食道がんにおいて、標準的な治療法が手術によるがんの切除となります。がんの病巣はもちろん、他の部位への転移が見られる場合は転移巣もあわせて切除します。

ステージ0~Ⅱの初期がん、早期がんにおいては、手術によるがんの切除で命が助かる可能性は非常に高く、食道がん以外でも標準的ながんの治療法とされ、局所療法に分類されます。

内視鏡療法とは
粘膜層内にのみがんが見られ、リンパ節への転移や広がりが見られない食道がんに対しては、内視鏡を用いた粘膜切除術で対応するケースもあります。
内視鏡で食道の内側から観察して切除し、治療後は粘膜の再生により発病前と同等の生活ができるという点が優れています。

抗がん剤(化学療法)

病院のベッドで寝る女性

全身療法に分類される治療法で、抗がん剤を血液の流れに乗せて全身に送り、内視鏡や外科手術によるがんの切除が難しいケースで治療効果を高めたい場合に選択されます。

抗がん剤治療が単独で試みられるケースと、放射線治療や手術など他の治療法と併せてこころみられるケースがあるでしょう。

抗がん剤治療の具体例としては、点滴に混ぜて5日間の治療をおこなうことを1つの区切りとし、約3週間の間を置いて再びこころみ、効果が見られればその繰り返しで治療効果を高めていくという流れになります。

このため抗がん剤による食道がんの治療では入院の必要があるでしょう。抗がん剤にはさまざまな種類があるため、治療の結果を観察しながら適切な抗がん剤が都度選択されることになります。

抗がん剤治療による副作用について
個人差があるものの、抗がん剤による副作用として吐き気、嘔吐、食欲の低下、また血液や腎臓の機能低下が見られるケースもあります。

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免疫細胞療法

全身療法に分類される治療法で、患者自身が持つ免疫力を強化することでがん細胞に対する撃退の効果を高めるという仕組みになります。

患者自信の免疫細胞を利用するため基本的に副作用というものがなく、全身に対する治療法としては安全性が高い傾向があるとされます。

近年注目されているがんの治療法ではあるものの、免疫細胞療法が可能な施設は日本全国で見ても300ヶ所ほどであり、一般的な治療ほとして広がりを見せるのはまだ先であることが難点と言えるかもしれません。

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放射線療法

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手術を希望しない患者や、合併症の恐れがある患者、また体力面などさまざまな理由から手術の選択が難しい患者に対しこころみられる治療法です。

手術で食道の一部を切除した結果、食道がせまくなる、機能が低下するなどの不都合を回避できる手段としても優れています。

放射線を照射し、がん細胞の破壊と死滅を目指す治療法となります。

研究の結果、放射線治療のみをおこなうよりも抗がん剤による治療を併せたほうが高い効果が得られることが判明し、近年では放射線治療が単独でおこなわれるケースは少なくなっています。

放射線療法による副作用について
放射線治療による副作用は個人差が大きく、強く出る人とほとんど副作用が出ない人にわかれます。
また、治療期間中に出るか治療から数年後などある程度時間が経ってから出る人がいる点でも差が見られます。

主なものでは飲食物を飲み込む際の違和感、痛み、声がかすれる、吐き気、嘔吐、食欲の低下、放射線を照射している部位の皮膚が日焼けに似た状態になるなどがあります。

陽子線治療

日本で陽子線療法が可能な施設は10ヶ所ほどで少ないように感じられますが、施設数だけを見れば世界でも豊富な範囲に含まれます。

世界最先端のがん治療の1つである陽子線療法は、非常に軽い元素・水素の元素核である陽子を加速させ、光の速さに匹敵する速度でがんの病巣に照射し、がんにダメージを与えることでがん細胞が増殖するのを抑える仕組みになります。

保険適応外の治療法となるため高額な費用を必要としますが、小児がんに対しては保険が適応されるという特徴があります。

重粒子線治療

日本で重粒子線治療が可能な施設は5ヶ所程度と、陽子線治療が可能な施設よりもさらに少なくなっています。

しかし、世界的に見ると治療患者数や治療成績ではトップクラスを誇っており、日本のがん治療だけではなく世界のがん治療としても注目を集める療法です。

従来のエックス線療法の「効果は認められるものの、がん病巣以外の健康な部位に対しても影響が大きい」「深部まで届く照射が難しい」というデメリット面を解決し、優れたがん治療効果を生み出すことができるのが特徴です。

光に匹敵する速度を与えられた重粒子線をがん病巣に狙って照射できるのが最大のポイントであり、世界最先端のがん治療法となっています。

再発防止は?免疫力を上げて予防する!

サラダ

食道がんも含め、がんという病気は早期に適切な治療を受けることで高い生存率となり、昔に比べれば必要以上に怖がる病気ではなくなり始めています。

しかし、がんの恐ろしい点は治療後に再発する可能性が高いということでしょう。がんの再発を防ぐために日常的にできることは、体の免疫力を底上げすることです。

トマト・春菊・ブロッコリー・かぶ・かいわれ大根など、抗酸化力が高くリンパ球の活性化にも繋がる食品をメニューに取り入れるのに加え、夜更かしや徹夜、睡眠不足などをできる限り避け、規則正しいリズムで毎日を過ごすなど生活習慣の見直しも意識してみてください。

もちろん、適度な運動も健康への道を開いてくれます。

免疫力はがんの予防だけではなく、もしがんにかかってしまった場合でもとても重要なポイントとなります。がんの広がりや進行の速度を遅くし、さまざまな療法の治療効果を高めるのもまた免疫力なのです。

免疫力の底上げはがんやがん以外の病気の予防としてももっとも身近な方法であり、体の外側・内側の若々しさと健康を守るうえで欠かせない要素となります。

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まとめ

勉強中

飲食物が胃に落ちていく前の段階で必ず通るのが食道です。

25cmほどのこの管状の臓器にがんが発生してしまうのが食道がんで、がんができてしまう原因は胃がんの原因とよく似ている部分があります。

また、自覚症状が起こりにくい、発見しにくいという点においても胃がんとの共通点が見られるでしょう。

つまり、食道がんのリスクを抱えている人は胃がんのリスクも抱えていると言っても良い状態なのです。

食道がんの原因として考えられる主なものには、お酒やタバコの過剰摂取がまず挙げられ、さらに熱い飲食物、辛い飲食物など食道に強い刺激を与える嗜好を持つこともリスクを引き上げるとされています。

この嗜好の傾向はどちらかと言うと男性に多く見られるため、食道がんの患者には男性のほうが多いというデータがありますが、現代は女性でもこれらの嗜好を持つ人は増加傾向にあり、女性だからリスクが低いという油断はしないほうが良いでしょう。

食道がんにおいて、がんを切除するための手術は標準的な治療法ですが、初期の段階で発見できれば大掛かりな手術を避けられる場合があります。

内視鏡を用い、がんができている粘膜部分を切除する方法で、この手術の範囲で切除する事ができれば、がんにかかる前とさほど変わらない生活の質を維持することができます。

できる限りの早期発見が命だけではなく生活の質も守ることに繋がります。

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