罹患数とは、特定の集団の中でがんだと診断された人の数のことで、その割合を表したものを罹患率と呼んでいます。特定の集団というのは一般的には都道府県や市町村などの地域が単位となることが多いですね。

罹患数を計算する際には、その地域における病院などの医療機関からデータを集めて集計することになります。この数や割合は集団の規模によって毎年計算されることもあれば、複数年ごとに調査が行われることもあります。

その理由は、例えば人口が少ない市町村では、毎年データを集計するのでは数が少なすぎたり、偶発的な要素によって数字に偏りが出てしまうためです。今回はそんな罹患数と罹患率について解説します。

がんの罹患数・羅患率とは?

診断結果

がんという疾患は全身全てに起こる可能性があり、部位ごとのガンでは治療法や生存率などが大きく異なります。

そのため、がんの罹患数や罹患率を計算する際には、がんという疾病だと診断された患者さんの数や割合を計算するとともに、どんな種類のがんだと診断されたのかという部位ごとにもデータを収集することになります。

そうすることによって、この地域はこの種類のがんが多く発症しているな、この地域は全体的にがんの罹患率が少ないな、という傾向が把握しやすくなるわけです。また、それぞれの死亡率や3年・5年・10年生存率を把握するためにも重要な役割を持っています。

がんにはいろいろな種類があり、原発巣が一つだけのものもあれば、多重がんのように複数の臓器などに異なる原発巣を持つがんなどもあります。

また、がんが再発したり、治療後数年が経過してから別の場所に別のがんが罹患することもありますよね。その場合には、それぞれを別の疾患という扱いでカウントすることになります。

この罹患数や罹患率は、がんを患っている人の数や割合ではなく、医療機関でがんだと診断された人の数や割合です。通常の場合には、調査や集計に時間がかかるため、実際の調査から4年~5年程度遅れて公表されるのが一般的です。

男女別の発症率の違い

上昇するグラフ

がんは老若男女誰にでも発症するリスクがあります。しかし、男性と女性とでは、体内のホルモンバランスや血液の状態なども微妙に異なるため、かかりやすいがんの種類は異なります。

また、男性と女性とでは食生活生活習慣にも違いがあるため、そうした後天的な要素ががんの発症率にも大きく影響してくることが分かっています。

がん情報サービス「2017年のがん統計予測」によれば男性と女性を比較した場合、全体的に男性の方ががんの罹患数は多くなっていて、がんだと診断される人数を比較すると、男性の方が14万人程度も多いことが分かっています。

その中には男性特有のがんである前立腺がんが含まれていますが、男性の場合には社会生活の中で不規則な生活やストレスが多い生活、また乱れた食生活などが原因で胃がんや大腸がんなどの罹患率も女性より高くなっています。

どの種類のがんの罹患数が多いのかを比較した場合、最も多く発生しているのは男性特有の前立腺がん、女性なら女性特有の乳がんです。

男性の場合、その次には胃がん、肺がん、大腸がんが圧倒的に多くなりますが、女性の場合には便秘がちな人が多いからでしょうか、大腸がんの罹患数が多くなっています。そして、肺がん、胃がんと続いています。

お腹

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男性特有の「がん」

お腹を抑える男性

男性のがん罹患率を見ると、最も発症率が多いのは、男性特有の前立腺がんとなっています。続いて胃がん、肺がん、大腸がんとなり、この4つの部位は他の種類と比べると圧倒的に罹患数が高くなっているという特徴があります。

男性の場合、すべての種類のがんにおいて女性よりも罹患率が高くなっています。その理由は、おそらく健康意識の差ではないかと考えられています。

日本人では、男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、ここにあげた生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。喫煙、飲酒、食物・栄養、身体活動、体格、感染、化学物質、生殖要因とホルモンについて

もちろん、健康意識が高い人もいますが、男性は女性よりも社会生活でストレスを抱えている人が多かったり、喫煙する人が多かったり、また仕事の後に同僚や上司など職場の人達とアルコールを飲む習慣を持っている人が多いですよね。

生活習慣や食生活の積み重ねによって、男性の方ががんにかかりやすくなってしまうと言われています。

また、男性は女性よりも筋肉量が多いため、毎日の食生活では多くのエネルギー量を必要とします。

男性特有のがんの原因

ビジネスマン

あっさりした食生活よりもコッテリした高糖質・高脂質な食生活を好む人が多く、栄養バランスが偏りやすいという点もまた、がんの罹患率が高くなりやすい理由と考えられます。

男性にしかかからない男性特有の前立腺がんは、他の臓器に発症するがんと比べると、進行がそれほど早くはなく、浸潤や転移をしにくいという特徴があります。

このがんが発症する原因にはいろいろなものがあり、年齢による老化も原因の一つとなっています。そのため、男性特有のがんにかかる人を年齢別に見ると、若い人よりも高齢者が圧倒的に多いですね。

その他にも前立腺がんが起こる原因はたくさんあります。

例えば、肥満、カルシウムを過剰に摂取しすぎる食生活、また喫煙などがありますが、なぜ別の臓器ではなく前立腺に発症するのかという点については、まだはっきりと医学的に究明されているわけではありません。

また、男性特有のがんは進行が遅いため、健康診断などで発見すると速やかに治療して寛解できる割合が高いという特徴があります。

女性特有の「がん」

心臓が痛い女性

男性の場合、男性特有のがんというと前立腺がんしかありません。しかし女性の場合には、女性特有のがんというと乳がんや子宮がんをはじめ、卵巣がんや卵管がんなど複数の種類があります。

女性のがん発症率を見ると、ほかのどの部位よりも圧倒的に発症率が多いのは乳がんです。乳がんは、他の部位と比較して進行が遅くて転移しにくいという特徴があり、早期発見できれば手術療法で寛解することが十分に可能です。

しかし、放置してしまうと他のがんと同じようにリンパや血液へ浸潤してしまい、全身にがん細胞が送られて遠隔転移のリスクが一気に高まってしまいます。

乳がんに続くがんには、大腸がん、肺がん、胃がんがあります。大腸がんが発症する原因の一つには便秘があるため、男性よりも便秘になりやすい女性がかかりやすいがんだと言えるかもしれませんね。

また、肺がんは喫煙および副流煙による原因が多いですし、胃がんは食生活やストレス、生活習慣などが原因で発症することが多い種類のがんと言われています。

これらのがんに続いて罹患数が多いのは、子宮がんです。子宮がんも男性はかかることがない女性特有のがんです。

女性特有のがんの原因

胃のところがハート

原因にはいろいろなものがありますが、子宮頸がんなどは出産していない女性の方が発症率が高いと言われているため、女性特有のがんは妊娠や出産と関係があるのかもしれません。

20歳以上の女性は検査が推奨されているので、定期的に受けましょう。

子宮頸がん検診は、科学的な方法により、がん検診として効果があると評価されており、検診の実施による死亡率の減少が明らかになっています。20歳以上の女性では、2年に1回、細胞診による子宮頸がん検診の受診が推奨されています。

女性の場合には、男性よりも全体的にがんの罹患数が少ないという統計があります。これは主に、女性の方が健康に対する意識が高かったり、生活習慣や食生活においてもがんにかかりにくいヘルシーな毎日を送っている人が多いからだと言われています。

もちろん、女性でも不規則な生活や乱れた食生活をしているとがんを発症するリスクは高くなってしまいますから、気を付けなければいけません。

また、男性に多い肺がんや胃がんなどは、慢性的な喫煙やアルコール摂取が原因の一つだと考えられています。女性だからと言ってかからないわけではありませんから、注意しましょう。

部位別のがん患者数

診察

男性と女性とでは、部位別のがん患者数は異なります。まず男性の場合には、最も発症率が多いのは前立腺がんで、その後に胃がん、肺がん、大腸がん、と続きます。

他の部位にもがんを発症している人は多いのですが、部位ごとの発症率を見ると、男性の場合には、この4種類が圧倒的に多いという特徴があります。

ちなみに、前立腺がん、胃がん、肺がん、大腸がん以外の罹患数を見てみると、肝臓、腎臓、膵臓、食道、悪性リンパ腫、膀胱などがあります。

しかし罹患数を比較すると、男性がかかりやすいトップ4位では罹患数がどれも10万人に近いのに対し、それ以外は2万人~3万人程度となっています。

女性の最も発症率が高いがん

咳をする女性

女性の場合には、最も発症率が高いのは乳がんで、2位の大腸がんと比べると1.5倍も多いですね。

続いて大腸がん、肺がん、胃がん、子宮がんとなりますが、女性の場合には乳がんの発症率が圧倒的に高いという特徴があります。

便秘がちな女性が多いために大腸がんも発症率は高めですが、乳がんの発生率は大腸がんの1.5倍、肺がんや胃がんの2倍、子宮がんの3倍となっています。

ちなみに、女性は男性よりも健康意識が高く、食生活などもコッテリ系よりアッサリ系を好む人が多いため、全体的ながん発症率は男性よりも少ない傾向にあります。

主ながんの死亡者数

落ち込む親子

がんという疾病は、早期発見で適切な治療を受ければ寛解できる可能性はとても高い疾病です。

しかし、放置してしまうとどの部位にできるがんでも少しずつ進行して浸潤するため、やがては死に至ってしまいます。

ただし、部位ごとに進行や浸潤のスピードは異なりますし、患者さんの年齢や体質、生活習慣や食生活によっても進行のスピードは変わるため、具体的にどのぐらいまでなら放置しても大丈夫という線引きはありません。

がんの死亡者数を見ると、2016年の1年間でがんが原因で死亡した人は、男性は約22万人、女性は約15万人となっています。

がんの死亡者数から考えられる原因

医者たち

男女で罹患数や死亡数に大きな差があるのは、男性は健康意識が女性ほど高くない人が多く、悪いと分かっていても生活習慣や食生活を見直さない人が多いことが原因なのかもしれません。

また、男性の場合には一家を支えなければいけないという責任感から、無理を押して仕事を続ける人が多く、この点でも男女で大きな違いが見られますね。

一方、女性は普段から健康や美容に気を付ける人が多いですし、喫煙者の数も女性の方が少ないものです。

健康のために吸わないという人はもちろん多いのですが、肌が荒れるからタバコは吸わないなど、美容のために行っている習慣がヘルシーなことが、女性には多いようです。

男女別で死亡数が多いがん

診察

男性のがん死亡者数で多いのは肺がん、胃がん、大腸がんの順番で、女性の場合には大腸がん、肺がん、胃がんの順番となっています。

順番は男女で異なりますが、どちらもトップ3は同じ種類ですから、これらのがんは特に早期発見と早期治療が必要だと言えるでしょう。

日本国内には、がん罹患数が男性で57万人程度、女性だと43万人程度いると言われています。ここにがんの死亡数を合わせると、男女で約21万人もの違いがあるわけです。

これは、男女の普段の生活習慣や食生活だけでなく、健康に対する意識やストレスレベルの違いなども要因になっていることが考えられます。

がんの予防には生活習慣と食生活の見直しが大切

家族の食事

がんという疾病は、男女ともに生活習慣や食生活を見直すことによって予防することは可能です。

例えば、適度な運動をするだけでもがん発症リスクを軽減できますし、食生活なら暴飲暴食は辞めて栄養バランスの取れた食生活を心がけることによってある程度は予防することができるのです。

男性の方ががん罹患率が高いからと言っても、男性なら必ずかかるわけではありませんし、自分は女性だから絶対に安心ということも言えません。

男女別の死亡数を見ると、どのようながんで死亡している人が多いのかが分かりますから、普段の生活を見直してみてはいかがでしょうか?

まとめ

検査

全国でがんを患っている人はたくさんいますが、都道府県や市町村などの単位ごとにがんだと診断された患者さんの数を計算したものを、罹患数と呼んでいます。

罹患数というのは、がんを発症している患者さんではなく、病院でがんだと診断された患者さんが対象となるため、実際にがんを患っている人は医療機関が把握している罹患数よりも多いと言えるでしょう。

ガンは男性でも女性でもかかるリスクはもちろんあります。しかし、男性と女性とでは生活習慣や食生活における嗜好などが異なりますし、健康への意識という点も大きな差がありますよね。

実際にがんの罹患率を男女比で見ると男性の方が女性よりもかなり多くなっています。

男性と女性でがんの罹患率や死亡率が異なる理由

男性と女性とで、がんの罹患率や死亡率が異なるという点には、いくつかの理由が考えられます。

まず、生活習慣については、女性は美容や健康への意識が高いため、がんの予防を意識しているわけではなくても、ヘルシーな生活を送っている人が多いものです。

一方男性の場合には、体に悪いと知りながらやめられなかったり、無理を押してしまう人が多いために、罹患数や死亡数がともに女性よりも高いのかもしれません。

男性の場合には前立腺がん、女性の場合には乳がんとともに男性特有、女性特有のがんの発症率が最も高くなっていますので、生活習慣や食生活を改善して気をつけましょう。