抗がん剤の目的とはがん細胞を縮小させたり、増殖を防いだり、成長を遅らせたりする事です。

よく抗がん剤を使用する目的はがん細胞を死滅させる事だと勘違いしている方がいらっしゃいますが、本来の目的はがん細胞が活性化するのを防ぐ事によって、がんが他の場所に転移しないようにしたり、或いはがん細胞を縮小させる事で手術をしやすくしたりする事が目的となっているのです。

抗がん剤の投与によってがん細胞が死滅したとしても、延命出来るというものではありません。強い副作用に苦しんだり、寿命を縮めてしまう結果となる場合もあります。

抗がん剤はあくまでも、がん細胞が広がるのを防いだり、活性化するのを抑制したりするという事だと認識してください。

抗がん剤はがんの種類や個人差によって、単独で使われたり、複数の種類の抗がん剤を使用したりする事によって、抗がん剤の効果が最大限に発揮できるようにしています。

抗がん剤治療の種類は大きく分けると三種類あり、がん細胞を破壊する「化学療法」と、がん細胞の特質を分子レベルで解析し、それを標的にする「分子標的治療」、さらにがん細胞を活性化させる体内のホルモンの分泌を抑制したり、促進させたりする「ホルモン療法」などがあります。

抗がん剤の使用方法

抗がん剤は一般的に点滴や注射で体内に注入される場合と、飲み薬によって摂取する場合に大別されます。

点滴や注射で注入される方法には大きく分けて3種類あります。

  • 腕の静脈など細い血管に注射や点滴をして抗がん剤を投与する方法
  • 太い静脈に針をさして、そこから中心静脈までカテーテルを使って抗がん剤を投与する方法
  • ポートと呼ばれる装置を皮下に埋め込んでおいて、適宜抗がん剤が投与される方法
肝臓など特定の部位に直接抗がん剤を投与したい場合はカテーテルやポートが使われる事が多いですし、またその他にも腹腔や胸腔などの部位にも直接針をさして抗がん剤が投与される事もあります。

抗がん剤は強い副作用が出る事が多いので、患者の症状や抗がん剤の効果などを見極めるために、1~2週間の期間(クール)を決めて、抗がん剤を投与する日と投与しない日のサイクルを作って、定期的に治療が行われる事が多いです。

最近では抗がん剤による副作用に対してある程度対処が出来るようになってきたので、最初の1クールのみ入院して、後は外来で化学療法を行っていく事が出来るようになってきており、抗がん剤の投与をしながらでも普段と変わらないような生活が送れるようになってきています。

抗がん剤には飲み薬がある?

薬

抗がん剤というと前述したように注射や点滴で投与するイメージがありますが、実は錠剤やカプセル、顆粒タイプなどの薬を服用するタイプの抗がん剤もあります。

飲み薬のタイプの抗がん剤でも、がん細胞を消滅させる効果があるものや、分子標的治療薬、ホルモン療法薬などがあります。

一般的に飲み薬のタイプの抗がん剤でも投与される期間と、投与を行わない期間が設けられており、投与しない期間を設ける事で、抗がん剤による体へのダメージ(副作用)からの回復期間を作っています。

飲み薬タイプは身長や体重などの身体的な情報だけでなく、がんの種類や進行状況などによって、服用する薬剤や服用量、そして飲む頻度などが決められていきます。

これは抗がん剤を服用し始めて、患者の状態を見極めて、効果が最大になるように用法・用量などは随時変更していきます。

点滴や注射の場合に比べると精神的な負担が少ないですが、薬をきちんと飲んだかどうか、病院からチェック表を渡されるところもあります。

抗がん剤は注射や点滴タイプのものでもそうですが、他に飲んでいる薬があったり、女性の場合は妊娠していたりする場合は、投与前にきちんと説明を受ける必要があります。

服用して嘔吐が止まらないなど、強い副作用の時のために医師や看護師に対処法を聞いて置いたり、緊急連絡先を聞いておくことをおすすめします。

抗がん剤の効果とは?

医師とパソコン

がんの治療というと、手術や放射線治療を真っ先に思い浮かべるかもしれません。しかしこれらの治療法は局所的なものですから、がんが全身に広がっていたり、他の場所に転移していたりする場合には効果的ではありません。

そこでがん細胞の増殖を抑えたり、進行を遅くしたりするために抗がん剤を使用しているのです。

もちろん抗がん剤を使用することによって、がん細胞を死滅させる事も効果の一つではありますが、医師の中にはがん細胞は決して抗がん剤で死なないと断言している人もいるほどその増殖力は強く、その増殖を食い止めるために抗がん剤が使われています。

またがん細胞が増殖を遅くして、小さくなっていれば、外科手術がしやすいというメリットがあるので、抗がん剤は副作用を考慮しつつ、外科的な治療と併せて使うことで、その効果を発揮させる事ができます。

がん縮小で抗がん剤が効くと判断される

MRI検査

抗がん剤を投与して、がん細胞に縮小が見られると抗がん剤が効いていると判断されます。

ですからある抗がん剤を投与して、たった2割の人しか効果がなく、後の8割の人に効果がなかったとしても、その抗がん剤は効果があるとみなされて、抗がん剤の投与が行われるという事も頭にいれておかなくてはなりません。

抗がん剤を投与してもがんが縮小しなかった場合は、抗がん剤の種類を変えたり、使用量を変更したりして、適宜、がん細胞が縮小するように働きかけていきます。

がん細胞が縮小していくと、それでがん細胞が死滅して、生存率が上がるわけではありません。抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃してしまうので、がん細胞が縮小したのと同時に正常な細胞も傷ついてしまい、強い副作用に苦しんだり、結局寿命が縮まる可能性もあるのです。

抗がん剤は博打のような側面があり、実際に使ってみなければ、効果があるかどうかわからないケースがほとんどです。

また最初のうちは効果があったのに、使っていくうちに耐性が出てきて、抗がん剤の効果が出なくなったという事もありえます。

抗がん剤の使用で必ずしもがんが縮小してがんが治るというものではないですし、また抗がん剤が効いた結果、寿命が短くなったという事が起こりうるものだということを認識しておく事が大切です。

抗がん剤が効きやすい人・効きにくい人

腹痛

早くがん細胞をやっつけたいという気持ちから、抗がん剤の効果を期待してしまいがちですが、実は抗がん剤が効きやすい人と効きにくい人の両者が存在しています。

抗がん剤というと副作用が強く、痛くて苦しいというイメージが強くて、出来れば避けたいと思う人が多いのですが、最近では抗がん剤の進化や遺伝子検査の発展により、自分にあった抗がん剤を見つける事が可能となってきました。

自分にあった抗がん剤を見つける事が出来れば、とても効率よくがん細胞を死滅に追い込む事が出来ます。

遺伝的な要素で抗がん剤が効いた人と効かなかった人がくっきり分かれた例としてイレッサがあります。

イレッサは肺がんに効果があるとして注目を浴びた分子標的治療薬の一つで、肺がん治療に大きな効果を上げる事ができた反面、イレッサによって死亡する患者が多く出てしまいました。

後にがん患者の中にはBMIと呼ばれる遺伝子が変動して、イレッサの効果が全く出ないという事がわかったのです。

このように抗がん剤には効果が出る人と出ない人がおり、免疫力の強さや年齢、体力差などの個人的な理由だけでなく、遺伝的な要素もある事がわかってきました。

最近では抗がん剤投与の前に「抗がん剤感受性試験」を行って、投与前に抗がん剤が効果があるかどうか事前にチェックできるようになっており、正診率は70%以上となっています。

抗がん剤が効きやすいがん・効きにくいがん

注射

抗がん剤が効きやすいがん細胞と効きにくいがん細胞があり、例えば白血病や悪性リンパ腫、子宮繊毛がん等は治癒まで持っていける可能性が高いと言われています。

また乳がんや卵巣がん、胃がん、膀胱がん等は必ずしも治癒できる範囲までいくとは言えませんが、延命できたり、しばらくの間であれば生活の質を元に戻すレベルまで持っていける可能性があるとされています。

抗がん剤を使用しても治癒しないのでは効果がないと思いたいところですが、実際は少しでもがん細胞が小さくなれば、抗がん剤は「効いた」と判定されているのが実情です。

反対にすい臓がん、腎臓がん、肺がん甲状腺がんは抗がん剤の効果が出にくいがんであると言われています。

個人差はありますが、これらのがんの場合は抗がん剤を使っても使わなくても余命にあまり差がないというデータがあるくらいで、抗がん剤を使った事によって、体が受けるダメージの方が強いというケースが多々あります。

さらに、抗がん剤が効かないと判断される例として、強い副作用が出てしまって、抗がん剤の投与を中止しなければならなくなったとか、抗がん剤を長期的に使用する事で、がん細胞が耐性を持ってしまったという状況もあるのです。

抗がん剤の副作用

抗がん剤を使用した患者から、かなり強い副作用に悩まされたという体験談を聞いた事があるのではないでしょうか。

抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常に働いている細胞まで効果が及んでしまうので、副作用が出る事が多いです。

抗がん剤を投与した直後から副作用が出るケースが多く、例えば吐き気や嘔吐、発疹や血圧低下などのアレルギー症状が出る人がいます。

また投与してから1週間して下痢や発熱が出たり、4週間後に腎機能障害や肺炎などに罹患したという事態もありえます。

副作用の起こり方には、吐き気、だるさ、食欲低下、下痢、手足のしびれなどの自覚症状、肝臓・腎臓・骨髄への影響といった検査でわかる障害などさまざまです。それぞれ起こる時期も、治療後数日以内、1~2週間後、それ以降(1ヵ月以上後)に起こるなど、内容によって異なります

最近の抗がん剤治療はとても進歩してきているので、ある程度の副作用は事前に対処できるようになってきました。

副作用の出方には個人差があるので、自分の症状を見て不安になるのは仕方がありません。副作用に関しては事前に十分に確認しておいて、体調不良など異変を感じたらすぐに医師や看護師に相談するようにしましょう。

脱毛

髪の毛を短くした女性

抗がん剤の種類によっては副作用として脱毛を起こす場合があります。脱毛は個人差があり、頭皮だけでなく、眉毛や体毛まで抜け落ちる人もいて、脱毛してしまった自分にショックを感じる人が少なくありません。

予めカツラやナイトキャップを用意しておくと心の準備が出来るのでおすすめです。

脱毛中は頭皮が敏感になっていますから、シャンプーは刺激のないものを選び、ゴシゴシ頭皮を洗うのは止めるようにしてください。

抗がん剤の治療が終われば、薬の効果が薄れ、半年後くらいにはまた髪の毛が生えてきますので、それまではのんびりと構えておく事が大切です。

倦怠感

病に侵される男性

疲れやすさや倦怠感、無気力というのも、抗がん剤の副作用としてよく起こります。どうしても仕事や家事が気になって体を動かさないといけないと思いがちですが、まずは体を休める事が大切です。

仕事や家事は頼める人がいれば、頼むようにして、無理のない範囲で動くようにしましょう。

やらなければならない事が頭に浮かぶと、どうしても罪悪感が出てしまうものですが、甘えられる時は甘えて、自分を追い込まない事が大切です。

抗がん剤の効果を期待するばかりに医師や看護師に体調不良を相談しにくいものですが、まずは症状を伝えて、抗がん剤の治療方法を変更してもらったり、お薬を処方してもらったりしてみましょう。

貧血

不眠で悩む女性

抗がん剤によって造血幹細胞がダメージを受けて赤血球が減少するので、貧血が副作用として起こりやすくなってしまいます。

貧血になると、常にだるかったり、疲れやすくなったり、めまいや息切れを起こしたりします。

貧血はすぐに改善出来ませんから、医師の指示にしたがって薬の服用などをし、安静に過ごすようにしてください。

買い物など日常的な事は家族に協力してもらって、体をあまり動かさない事が大切です。

貧血がひどいのは薬の効果が出ているわけですから、自分で対処できない場合には輸血などの対処をしてもらいましょう。

感染症

マスクを着けた人とウイルス

抗がん剤が投与されて7~14日後くらいから、薬の効果から体内の白血球の数が大幅に減少してしまうため、抵抗力が弱くなって体の様々な部位に副作用として感染症が起こりやすくなってしまいます。

虫歯や腹痛、寒気、震え、38度以上の発熱など、感染症の症状は様々で、病院からは白血球を増やす薬や抗生物質を処方されたりしますから服用するようにしましょう。

また自分でも感染症を引き起こさないように、手洗いやうがいを徹底し、体を清潔に保つようにしてください。

口内炎

抗がん剤の副作用として、口内の粘膜が炎症を起こして口内炎になりやすくなります。口内炎になると食事をする時に口内に痛みが走るので辛いものです。

医師からは痛み止めや炎症を抑えるうがい薬などが処方されますが、自分でできる対策として、抗がん剤の治療前から口内を清潔に保っておく事が重要です。

医師から処方された薬の効果を期待するだけでなく、歯磨きを徹底し、こまめにうがいをして口内の乾燥を防いでください。

食事は固いものや熱いものは避けて、香辛料が入ったものやアルコールは口にしないようにしましょう。

吐き気・嘔吐

吐きそうになる女性

抗がん剤の副作用としてよく報告されているのが吐き気や嘔吐で、これは脳の神経を刺激する事以外にも心理的な面が影響しているケースが多いです。

医師から処方される吐気止めはきちんと服用する様にして、無理をしないで過ごす様にしましょう。

薬の効果から吐き気や嘔吐がひどい場合は、しばらくの間食事が出来ない事もあります。

その場合は無理して食事をしようとせず、医師に相談して、点滴などによって水分や栄養を補給してもらうようにしましょう。

下痢

お腹を抑える男性

抗がん剤によって消化器官の粘膜がダメージを受けることで副作用として下痢を発症する人がいます。

病院からは整腸剤や下痢止めを処方されますが、自分で出来る対処法として、消化の良い食べ物を少量ずつ食べたり、カリウムを多く含む野菜や果物を食べたり、脱水症状にならないために水分補給をしたりしてください。

スポーツドリンクは電解質を補給できるので症状を和らげる効果があるのでおすすめです。

それでも下痢が長引いたり、脱水症状になったり、血便が出たりしたらすぐに医師に相談してください。

便秘

腹痛

抗がん剤が自律神経に作用することによって、副作用として便秘になりがちになります。

また制吐剤や抗がん剤の効果で体がだるくなり、腸の蠕動運動が弱まることでも便秘になりやすくなります。

病院から下剤を処方されますが、自分でも出来るだけ便が出やすくなるように、水分補給をこまめにしたり、無理をしてはいけませんが、軽く体を動かして腸を動かすように意識してみてください。

体を動かすのが億劫であれば、時計回りにお腹をさすってみるのも良いです。

アレルギー(過敏症)

落ち込む親子

抗がん剤を投与して数時間から数日と比較的早く出てくる副作用としてアレルギー症状(過敏症)が挙げられます。

蕁麻疹や皮膚の赤みやかゆみ、息苦しさ等の症状が出る人がいるのですが、さらに早い人であれば、抗がん剤の投与中に症状が現れる場合があります。

これらのアレルギー症状は生命を脅かす危険な状態である場合もあるので、医師や看護師による早急で適切な対応が必要です。

抗がん剤を投与中に気分が悪くなったり、何か体に異変を感じたら、抗がん剤の効果だと我慢せずに、すぐに医師や看護師に症状を訴えてください。

抗がん剤治療の対処法

画面を見る医師

抗がん剤治療はどんどん進化しており、副作用の発生リスクを抑えて、抗がん剤の効果を最大限に引き出せるように医師や看護師は患者にとって最適な使用が出来るように試みています。

しかし抗がん剤の効果や副作用に関しては個人差があり、抗がん剤は患者にとって常に完璧な治療法でないケースも多々あります。

抗がん剤による治療を完璧なものに近づけるように、医師や看護師は問診やデータを元に最適な治療方法の提供や副作用が起こった時に適切な対処をするように心がけ、かつ患者に抗がん剤や治療方針について十分に説明する事が大切です。

患者側も抗がん剤の効果を引き出せるように体調管理に気をつけたり、また体に異変があった時は速やかに医師や看護師に相談する姿勢をこころがけましょう。

副作用が出ない人もいる?

お婆さん

最近は抗がん剤の開発が進んで、がん細胞を死滅させる効果が高くなり、かつ副作用が出にくくなってきました。

個人差がありますが、抗がん剤を使用しても副作用が出ない人が中にはいるのです。

その理由として最近では抗がん剤投与の前に遺伝子検査や抗がん剤感受性検査などを行っており、これによって、抗がん剤ががん細胞のみを攻撃して、患者の正常な細胞を傷つけない抗がん剤を選ぶ事ができているという背景があります。

これにより患者は負担がかからない抗がん剤の使用が可能となっているのです。

その他に抗がん剤を使用しても副作用が出ないという人は、実は本人が副作用を自覚していないというケースもあります。

副作用というと、吐き気や嘔吐、頭痛、手の痺れ、アレルギー症状、倦怠感など、様々な症状があり、これらの症状が現れれば、患者は抗がん剤の副作用だと認識できます。

しかし抗がん剤によっては白血球や赤血球の低下や腎機能の低下、肝機能の低下など、患者が見えない部分にダメージが出ている事があり、この場合は注意が必要です。

医師や看護師側は常に患者の検査をして、何か異常が出ていないかをチェックしておく必要がありますし、また患者の方も何も副作用らしきものがないからと言っても油断をせず、抗がん剤の投与中は感染症を防いだり、睡眠をしっかりとるなど、自分でできる対策を行っている事が大切です。

抗がん剤の種類と副作用

医者と患者

がん治療では手術や放射線治療の他に抗がん剤治療があり、注射や点滴、時には服用することで、体内へ取り込み、直接がん細胞に働きかけるので、がん細胞が増殖したり、活性化するのを防ぐ事ができますが、その反面、正常な細胞を傷つけるので、副作用が出やすく、患者の体に負担が大きいのがネックとなっています。

抗がん剤を使用することで、がん細胞が治るという事は少なく、多くの場合はがん細胞が小さくなる事で寿命が伸びたり、苦痛が軽減されると考えた方が正しい認識となります。

しかし今日の抗がん剤は進化しており、より副作用がなく、効果が最大となる新薬の開発が進んでいます。それでは現在治療の中心となっている抗がん剤をご紹介します。

代謝拮抗剤

がん細胞が活性化するにはDNAの成分となる塩基や塩基と似た物質を取り入れる必要がありますが、抗がん剤の一つである代謝拮抗剤はこの塩基や塩基と似た物質と同じような構造をしているので、がん細胞が誤って代謝拮抗剤を取り入れてしまいます。

そのため、がん細胞はDNAを作れなくなり、分裂や成長をする事が出来なくなるので、がん細胞が増殖できなくなります。

代謝拮抗剤は細胞が分裂する時に効果があるので、投薬は長時間、持続的に行わなければならず、ある程度の副作用が出るのが避けられないと言われていました。

しかし最近では効果が高く、かつ副作用が軽減されるゲムシタビンやテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムなど、進化した代謝拮抗剤が登場しており、これらを使うことで患者の体に負担をかけない治療が実現可能となっています。

アルキル化剤

アルキル化剤は毒ガス研究から生まれたとても効果の高い抗がん剤です。

がん細胞はDNAの複製を行うことで、自分の細胞をコピーして増殖を続けるのですが、アルキル化剤に含まれるアルキル基が、がん細胞のDNAと異常で強力な結合を果たします。

これにより、がん細胞は自身の遺伝情報を用いてコピーを作る事ができなくなりますし、

またがん細胞のDNA自体も破壊してしまいがん細胞がコピーを作れなくなるので、ガン細胞の増殖を防ぐ事ができます。

乳がん治療ではエンドキサン、メラノーマの治療ではダカルバジンという薬剤で使われており、吐き気や倦怠感、肝機能障害、骨髄抑制による白血球の減少など、様々な副作用を引き起こす可能性が高いので、体に異常が出たらすぐに医師や看護師に連絡する事が重要です。

抗がん剤抗生物質

抗生物質というとペニシリンが有名ですが、がん細胞に関しても土壌に生息する細菌を使ってがん細胞に効果のある抗生物質を作る事はできないかという事で開発され他のが抗がん剤性抗生物質です。

梅沢浜夫氏が1953年に発見したザルコマシシンが世界初の抗がん剤性抗生物質と言われています。

ザルコマシシンはがん細胞のDNAに付着して核分裂できないようにしたり、酵素の働きを抑制してがん細胞のRNA合成を阻害したりする事で、がん細胞の働きを弱めさせる効果があります。

マイトマイシンCやブレオマイシンなどがあり、マイトマイシンCは慢性リンパ性白血病や胃癌、膵癌、子宮癌などあらゆる癌に効果があり、ブレオマイシンは卵巣癌や精巣癌などに使われている。

重篤な副作用を起こす場合もあるが、最近では効果の高さを維持しつつ、より副作用が少なく、安心して使える抗がん剤性抗生物質が誕生している。

微小管作用薬

がん細胞が分裂するには微小管の働きが重要であるが、微小管作用薬はこの微小管の形成を阻害することで、がん細胞の働きを阻害する効果のある抗がん剤です。

微小管作用薬は化学物質の種類によりビンカアルカロイド系とタキサン系に大別され、ビンカアルカロイドもタキサンも植物から生産されます。

ビンカアルカロイドはビンブラスチンやビンクリスチン、ビンデシンを含んでおり、ビンブラスチンは骨髄を抑制し、悪阻や嘔吐が副作用として見られます。

タキサンはパクリタキセルとどゼタキセルを含んでおり、こちらも強い骨髄抑制と体液貯留が起こります。

また微小管は神経細胞にも大きく作用しているので、微小管作用薬の副作用として、手足のしびれを訴える人も多いです。

その他

その他の効果の高い抗がん剤として、白金製剤やトポイソメラーゼ阻害剤などがあります。

白金製剤にはシスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンなどがあり、DNAと結合して、がん細胞の分裂を阻止する効果がありますが、腎毒性があり嘔吐などの副作用が出るのが難点とされています。

ただし研究開発の結果、最近では効果が高く副作用が出にくい白金製剤が開発されている。

しかしカルボプラチンはシスプラチンよりも腎毒性が低いので、より現場で使用されるようになってきています。

トポイソメラーゼは酵素の一種で、トポイソメラーゼの働きを阻害することで、がん細胞の分裂を阻害します。

トポイソメラーゼにはI型とⅡ型があり、I型はDNAの1本鎖らせんを制御し、Ⅱ型は2本の鎖らせんを制御する効果があるので、より多目的な効果が見込まれる、Ⅱ型を制御した方ががん細胞の分裂を阻止する効果が高いとされています。

分子標的治療薬

今までの抗がん剤は例えば毒ガス兵器から偶然がん細胞を死滅させる効果が見つかったという経緯のものが多く、それを起点として開発が進められてきたために、がん細胞と一緒に正常な細胞までも傷つける事が難点となっていました。

従来の抗がん剤はがん細胞と正常な細胞を区別せずに攻撃してしまうので重い副作用が発生するのもやむを得ませんでした。

そこで、がん細胞と正常細胞の違いを分子やゲノムレベルで見極めて、正常な細胞に与えるダメージを少なくし、がん細胞のみを攻撃する薬の開発が進められ、誕生したのが分子標的治療薬です。

分子標的治療薬は低分子薬と抗体薬に大別され、さらに効果が高まるように研究開発段階ではありますが、乳がんや肺がんなどで高い効果をあげています。

抗がん剤治療と対策

チェックポイント

抗がん剤は年々進化しており、重篤な副作用が起こる場合もいまだにありますが、以前のものに比べると、患者の体へのダメージが少なく、かつがん細胞を死滅させる効果が高いものが、どんどん世に出てくるようになりました。

このような進化した抗がん剤治療の効果を最大限に引き出すには、やはり自己の体調管理が必須です。無理のない範囲で食事をしたり、睡眠をとったり、体を衛生的に保ったり等は気をつけていきましょう。

このように体に負担をかけない生活を心がける事も大切ですが、抗がん剤治療はメンタルにも大きな影響を与えるので、無理をしないで、リラックスを心がける事も、患者にとってとても大切なことです。

また神経質になるのはいけないですが、体調やメンタルがしんどい時は素直に相談する勇気も必要でしょう。

それでは抗がん剤治療中の患者におすすめの生活をご紹介します。

治療中の食事

サラダ

抗がん剤の治療中は食べ物の匂いに敏感になって吐き気や嘔吐を感じる人が多いので、キムチとかラーメン、焼き魚といった様な匂いがきつい食べ物は避けた方が良いでしょう

匂いがきつくない食事であっても、他の家族の食事の匂いに敏感に反応する事もありえますから、他の家族との食事は症状が軽くなるまでの間は我慢した方が良いです。

食事の匂いがこもらないように、換気をこまめにする事も大切です。

食べたくない時は無理をして食べる必要はありませんが、あるデータによると生姜には吐き気や嘔吐を抑える効果があると報告されています。

食欲がない時は生姜を使用してみたり、生姜紅茶などで体を温めてみるのも良いでしょう。

抗がん剤の治療中は吐き気や嘔吐だけでなく、倦怠感に悩まされる人も多いです。

香水や芳香剤などのような匂いのきついものは室内に置かない方が良いですし、寝具などもこまめに洗濯して、匂いが付着するのを防いだ方が良いです。

治療中は副作用だけでなく、自分の将来などについて考えがちで、つい落ち込みやすくなりがちです。

音楽を聴いたり、植物を眺めてみたり、動物と触れ合ったり等、自分の好きな時間を作ってリラックスするようにしてみましょう。

脱毛は女性医療用ウィッグがおすすめ

マッサージ

抗がん剤の副作用として多いのが脱毛で、投与して1週間前後で頭皮に異変を感じるようになり、10~20日後に頭皮の脱毛が始まる人が多く、そして約3ヶ月後には毛髪が全て抜け落ちてしまいます。

そこでおすすめするのが医療用のウィッグの使用で、特に女性の場合、頭髪の脱毛による精神的ショックが大きいので、治療に専念するためにも、抗がん剤投与をする前に医療用ウィッグを用意しておくことをおすすめします。

ウィッグがあれば、精神的ショックを和らげてくれるので、普段の生活に戻りやすいですし、頭皮を保護する効果もあるので、脱毛が起こる可能性があると医師から伝えられたら、早めに医療用ウィッグを用意した方が良いでしょう。

医療用ウィッグは素材や製造方法によって値段に開きがあります。

値段や耐久性のことを考えると人毛と合成繊維でできた人工毛で作られたウィッグがおすすめで、フルオーダーでしたら値段が高くなりますが、既製品であれば値段を抑える事ができます。

自分の髪の毛が復活するまでには1年半~2年くらいかかりますから、ウィッグの使用は長期的なものとなります。

そのためウィッグを選ぶ際にはつけ心地や、自然な感じに見えるかどうかなどをきちんと確認して、自分に最適なものを時間をかけてでも選ぶようにしてください。

抗がん剤治療やめるとどうなる?非薬物療法とは?

瞑想

抗がん剤の本来の目的はがん細胞を殺すことではなく、延命です。

そのため抗がん剤を投与し始めの頃はがん細胞の活性化を抑制するメリットが副作用というデメリットに優っていたとしても、使用し続けていくことで、デメリットの方が強くなってくる事が頻繁に起こります。

こうなってくると患者にとって抗がん剤の使用は単なる延命になっていき、治療自体が苦痛となるケースが多いので、抗がん剤治療をやめる決断をする人が出てきます。

抗がん剤治療を止めた途端、食欲が出てきたり、元気になったり、寿命を伸ばす事ができたりしたという人が実際にいます。

抗がん剤治療だけでなく、手術などの外科手術をやめることで、治療からくる苦痛や体力の低下などを回避出来るので、たとえ寿命を伸ばす事ができなかったとしても、がんと闘わない自分らしい生活を送る事が出来るので、治療をやめる決断をすることが、がん患者の選択の一つとなっています。

抗がん剤治療を止めた後、非薬物治療を行うことで、生活の質を落とさずに日常生活を送る事が出来るように促す事ができます。

非薬物療法で有名なものは指圧やマッサージで、特に吐き気や嘔吐に関しては効果的というデータが報告されています。

指圧は手首の近くにある「内関」と呼ばれるツボを押すと良いとされていますし、マッサージは10分間の足のマッサージを行うと症状が軽くなるとされています。

もし指圧やマッサージをしてくれる人が近くにいない場合はTENS(経皮的末梢神経電気刺激)を利用して皮膚に刺激を送って、指圧と同じような効果を得るようにしてみてください。

嘔吐や吐き気を軽減する食べ物では生姜がおすすめで、生姜は吐き気止めの薬(メトクロプラミド)と同等の効果がある事が実証されています。

その他にも匂いが室内にこもらないように換気をこまめにしたり、匂いの強い食べ物や芳香剤を避けたりするなど室内を少しでも快適な環境にする事も重要です。

さらに音楽を聞いたり、旅行などの楽しい思い出をイメージして、出来るだけリラックスする事が非薬物療法として有効であるとされています。

健康

病気やがん再発を予防する!免疫力を高める方法【徹底解説】

健康的な生活を送るうえで欠かせないのが免疫力を高めることです。免疫力とは、疫病を……続きを読む

まとめ

パソコン

抗がん剤治療は強い副作用と闘わなければならないと思いがちですが、最近ではがん細胞を死滅させる効果は高いままで、副作用を抑える薬が開発されてきているので過度に恐る必要はありません。

しかしがん治療はやはり心身ともに疲弊するものですから、がん治療ばかりに注目するのではなく、少しでも自分らしい生活を送るようにしてください。